筆者はとある高知能団体に所属しているのですが、悩みがある時、タロット占いを積極的に活用しています。といっても、スピリチュアルな導きを期待しているわけではありません。
では、なぜタロット占いをするのか? その理由を万人からの納得感を得られるよう、本記事にて説明を試みます。
タロットの的中率の正体
占いという分野全般に対して嫌悪感を覚える人は、占いの結果を受けた時、つぎのように考えます。
- 「非科学的」
- 「占いは統計というけれど、学問としての統計と一緒にしないでいただきたい」
- 「悩みの内容、その人の雰囲気などを観察すれば、大体のことはわかるよね」
- 「100人に言ったら90人が当たっている!と感じるようなことを言っているだけでは」
- 「有能な占い師とは、有能な名探偵であり、有能なメンタリスト」
筆者もそう思います笑
でもまあ、そんな彼らでもタロット占いに関しては「結果だけみたら当たっている。信じないけど」と思うことが多いようです。
そこで次の疑問が生まれます。
なぜ、タロットは「当たっている!」と思われやすいか。
それは、どのカードを引いても、「当たっている!」と感じられるよう、タロットの各カードが作られているからです。
すごくないですか? 人が「当たっている!」と感じるパターンが78枚のカードに、相当の精度で網羅されている。ゆえに、タロットは十五世紀のルネサンスの時代から今日に至るまで長く愛され続けているのでしょうね。
タロットを活用する時の考え方
次の問いに移りましょう。
『何を引いても納得感が得られるタロットのカードを、いかに活用するべきか』
わたしの回答は『もともと頭の中になかった発想を手に入れるため』です。
『GANTZ 24』奥浩哉
タロットとは、悩みに対して視野狭窄になっている自分の思考に意外性を持ち込むツールです。
例えば、悩んでいることがある時にタロット占いをしたとして、『塔』の正位置が出てきたとします。
『塔』の正位置は、主に「破壊、崩壊」を司るカードです。
悩みをどうにかしたいから占ったのに『破壊』だなんて思いもしますか?
そこで、悩みに対して、つぎのような新しい見方を手に入れることができます。
「悩みを解決する努力をしても、徒労に終わるかもしれないことを覚悟しておこう」
「全てが壊れた先に、新しい何かが生まれてくる世界線だって、確かにありえる。そうした未来がやってきたとしても対応できるよう、準備をしておこう」
悩んでいる前までは、考えもしなかったことについて、考えるようになります。思考をほぐし、柔軟な見方を手にいれる上で、タロットは非常に役立つ道具になります。
筆者は、自分の物事の見方がどうにも凝り固まっているなと感じた時は、スマートフォンでタロット占いをします。
ひとつ大切なことがあります。タロットの結果に従う必要は無いし、結果に落ち込んだり引きずったりする必要もないということです。だって、頭を柔らかくするための道具なのですから。
タロットはスピリチュアルなツールなのか
それでも、どうしても霊感のような要素をタロットに重ねてしまう、という方に向けて、
「どんなカードを引くのか、という行為に対して運命性、神秘性、スピリチュアルな要因は認められるのか」について考えてみましょう。
タロットのカードはモノですよね?
モノであるカードをかき混ぜて、配置するのはあなたですが、あなたの意思決定は脳のシナプス間で行われるニューロンの発火現象であるからして、これも物理的現象です。
ゆえに、タロットはどこまでいっても物理現象です。
わたしは「どんなカードを引くかだなんて、そんなものはランダムに決まっているし、そこに霊性のようなものが介在する余地はない」と割り切っています。
割り切れない人は、タロットをやるべきではないです。完全にランダムに現れるカードの結果に振り回されるような人生を歩むくらいなら、タロットをするべきではない。
ただし「この場所で、この瞬間、このカードを引くのは、世界を支配する物理的法則に導かれた必然である」という宿命論的*1な考え方はできます。
これは『引き寄せの法則』とも通じるところがあるかもしれません。プリンが食べたいならば、お金を握りしめてコンビニに行けばよい、それだけの話です。
タロットに関する個人的な考察ノート
最後に、私のタロットに関する個人な考察ノートをそのまま記載します。ここまで書いてきた内容は、こちらのノートの内容をわかりやすく噛み砕いた内容です。読んでもよくわかんねえやとおそらく思われるかもしれませんが、読み取れる方には非常に面白い内容のノートになっているかと思います。
メインノート
●思考の開始点として相応しい人間共通の元型的(アーキタイプ)を網羅しているのがタロットである。
●タロットの占い結果の解釈および活用は、現状の点検および行動指針の再構築を目指す創作活動ともいえる。ゆえに、絵柄を解釈する際に頼むのは敬虔な信仰心ではなく、論理的かつ複眼的な思考でなければならない。また、結果の活用も無垢な信受ではなく明瞭な思考のもとで行われなければならない。
●タロットは物理現象である。スプレッド上に、シンボリックなデザインが刷られたカードを無作為に配列し、それぞれの絵柄の意味を連結させて一つのナラティブを紡いでいくのがタロット占いの手続きである。ゆえに、カードシャッフルのやめどきを決定するのは個人の直感的感覚(センチメンタル)である。個人の直感的感覚は、脳のシナプス間で行われるニューロンの発火現象であるからして、タロットはどこまでいっても物理現象である。
●カードを引くという行為に対して「この場所で、この瞬間、このカードを引くのは、世界を支配する物理的法則に導かれた必然である」という宿命論的な解釈をすることは可能である。
●生体の恒常性(ホメオスタシス)によって維持されている頑冥な認知バイアスを壊し、可塑性を失った人生選択に鋭利な角度から揺らぎを与えるタロットは「興味関心のない本をあえて読んでインスピレーションを得る」行為に酷似している。
●タロットの注意点は、占い結果への依存の程度である。占い結果に執着している人間ほど、無作為に過ぎないメッセージに行動が蝕まれる傾向にあり、「今ここにある現実」から思考と精神が浮遊している。タロットの磁場に捕らえられ、ランダムに現れるメッセージに振り回されながら彷徨するほど哀れな姿もない。タロットをうまく活用するためには外界と精神界のバランスが保たれていることが前提になる。
サブノート
●タロットの効果は3ヶ月とされている。不思議に、人体の細胞が丸っきり入れ替わるのも3ヶ月である。
●占いは、かつて王族、貴族の文化だった。中国の皇帝も国家の命運をかけた決断を卜占(ぼくせん)に懸けていた*2。我が国においても、卑弥呼が巫女(シャーマン)の威で豪の族をまとめていた歴史がある。
●死体解剖医である東大名誉教授の養老孟司は「AIのシンギュラリティが騒がれている。だが勘違いしてはいけない。コンピューターが人間になるんじゃない。人がコンピューターに似てくるんだ。その極みが官僚だ」と話している。人間から感受性を引き剥がそうとする潮流に、有象無象の魂が敏感に反応している。だからこそ、群像の一部は人間の野生を取り戻そうとする衝動にかられ、己の魂を霊性に接近させようとする。元来、自然と調和して生きるために霊性にすがる特質を孕んでいるのが人間という動物である。科学優位な現代においても、宗教やスピリチュアルが大衆の行動を指針している。この傾向は今後の人類史においても揺らぐことはない。