- 作者: ピーター・F・ドラッカー,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2001/12/14
- メディア: 単行本
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全国の本棚にある本書の上にうすら積もる埃たちは、これからもそのままだろう。
しかし、本書に書かれてある、知ったからと言って何かが変わるわけでもない内容を理解したい人は多いと思われる。
そんな人のために、ドラッカーの「マネジメント」をざっくりまとめる。
- 1章 企業の成果
- 2章 公的機関の成果
- 3章 仕事と人間
- 4章 社会的責任
- 5章 マネジャー
- 6章 マネジメントの技能
- 7章 マネジメントの組織
- 8章 トップマネジメント
- 9章 マネジメントの戦略
- まとめ;おおざっぱかつ偏見の入った書評
1章 企業の成果
「企業」「事業」について、小難しく述べている。2つの単語の意味を広辞苑で調べれば十分だろう。ほか、「立てた計画はその通りに進むとは限らない」「消費者が欲しいもの、かつ世の中に存在しないものが売れる」など当たり前のことをカッコよく言い換えることに徹している章。
2章 公的機関の成果
公務員は、企業の真似事をせず、
公務員らしく振舞うべし
3章 仕事と人間
拝啓 会社のお偉いさんへ
なにかと面倒くさいが、社員は大切に扱った方がいい
4章 社会的責任
拝啓 社蓄へ
なにやっても叩かれる企業、政府のことを少しは分かってあげて
5章 マネジャー
マネージャーは成果にこだわってナンボ、という身も蓋もない話。
人に使われる側からすると、この章の最後にある「管理職が持つべき真摯さ」について上司に一番読んでほしいだろうが、おそらくほとんどのマネジャーはここを読み飛ばす。
6章 マネジメントの技能
本書のなかで最も読む価値のある章。
- 意思決定は、その場しのぎにならないよう、反対意見を必ず巻き込み、関係者へのアピールが不要な品質を目指して行うべし。
- 「大工と話すときは、大工の言葉を使え。」つまり、コミュニケーション時は聴き手が理解できる言葉を選ぼう。
- 何を話すか、が定まっていないと、どのように話すか、まで到達できない。
- 人の管理手法に客観性を持ち込むのには限界がある。それでも客観性をもって行われなければならない。
- 企業活動からリスクを取り除くことは不可能である。
7章 マネジメントの組織
組織の設計パターンについて触れている。
あなたが人事のトップ、役員、戦略コンサル勤務でない限り、読んでも、猫に小判な章
8章 トップマネジメント
トップマネジメントの役目について触れている。
あなたが人事のトップ、役員、戦略コンサル勤務でない限り、読んでも、豚に真珠な章
9章 マネジメントの戦略
本書の中で2番目に読む価値のある章。
- 会社規模は、産業別、市場別に最小単位、最大単位が存在する。すべての企業は自社の適切規模の把握、構築を図らなければならない。
- 多角化戦略は、戦略が有効であることを確認の上、慎重に行う必要がある。なぜならば、マーフィーの法則にあるように、ひとつうまくいかなくなると、すべてがうまくいかなくなるからだ。
- 長期にわたる高度の成長は不可能である。また、あまりに急速な成長は組織を脆弱化する。
- イノベーションが起きるメカニズムについては、実のところドラッカーもよく分かっていない。
- マネジメントの2大役割
①組織が本来の使命を果たせるようお手伝いすること
②人に成果をあげさせること
まとめ;おおざっぱかつ偏見の入った書評
基本的にドラッカーの本の大半は経営者向けに書かれ、抽象的かつ壮美な理論を多く含む。つまり、一般人が読むことを想定していない。本書を活用できるとしたら、ドラッカーの言葉を、持論の補強に使えることくらいだろう。 例:「その彼氏ありえなくない?いますぐ別れた方がいいよ!ドラッカーも、リスクを伴う意思決定を行いたいか、行いたくないかは問題ではないって言っているよ!」
あなたが若手or中堅社員ならば、本書よりもD・カーネギーの「人を動かす」「道は開ける」を繰り返し読み、上司のスレイブに徹した方が、よほど充実したキャリアになるだろう。